1万7000円の服を買った話
1枚1万7000円のカットソーを買った。
こんまりメソッドでときめかない服を処分したので仕事用の服がほとんどなくなってしまった。
上にジャケットを着られる夏向きの服を探していて、いくつもお店を見て回っていた。
今まではもっと手頃な値段のお店で買っていたけど、「ときめき」のことを考えると何がほしいのかわからなくなってしまった。
何軒か見て回って、ちょっとくたびれてきたなあ、と思いながらそのお店に入った。
いらっしゃいませ、と言われたわたしが店内を一周したころに「どんなものをお探しですか」と話しかけられた。
いくつかやりとりをして、紺よりも少し青に近い色のブラウスを見せてもらった。
それはわたしがワンピースだと思って素通りしたセットアップのものだった。
襟元にシンプルな金色の飾りがついていてかわいいしアクセサリー代わりになって便利だな、と思ったので試着をすることにした。
ワンサイズと言われて緊張したが、鏡を見ると似合っているような気がしたので普段は絶対しないけど試着室からそのまま出た。
店員さんにも見てもらいたいと思った。
わたしが持っていると言ったベージュのジャケットが用意されていて、合わせたイメージを見せてくれた。
(やっぱり似合ってる気がするな)と思っていると店員さんもそう言ってくれた。
その時履いていたジーンズも合うと言われて仕事以外でも着られるのか!とより便利に感じた。
でも1万7000円という値段を聞いて完全にひるんだ。
わたしにとって服に1万7000円払うのは勇気がいった(しかもノースリーブに近いブラウス、布が少ない)。
「ほとんどこれに決めてるんですけど、他も見てきます…」と店員さんに告げ、(いちまんななせんえん、いちまんななせんえん…)と思いながら他のお店も回った。
途中で物産展を見に行き、夕飯に食べようと長い長い列に並びゴージャスなお弁当を買った。
ヘトヘトになってベンチに座りしばらくぼんやりして「よし、良いものにきちんとお金を払える大人になろう」とブラウスを買うことを決めた。
お店に戻り、接客してくれた店員さんに「この青いブラウスください」と声をかけた。
お金を払って店を出るまでずっと気さくで丁寧だったけどポイントカードを作ることだけは決定事項として勝手に事を進められたのがおもしろかった。
このブラウスを買う事で、ものの値段というのは接客も含めての価値なのかなと思った。
これまで下着や化粧品を買うのが照れくさいのと値段にひるんでしまうのとで専門店を避けていた。
ドラッグストアや通販で済ませず店員さんに相談すれば自分の納得いくものを手に入れられるかも、と思ったのでこの気持ちを忘れずにチャレンジしたい。
そして1万7000円は税別表示だったのでブラウスは結局1万8000円を少し超えた。
大切に着る。